IDECの持続的な成長と企業価値向上のため
より一層の取締役会の機能充実を目指します。
■ 【社外取締役 金井美智子】2016年6月に社外取締役として就任後、2018年からは監査等委員取締役。
■ 【社外取締役 姫岩康雄】監査等委員取締役として2020年に就任、2021年からは監査等委員会の委員長を務める。
社外取締役に納得いただけるまで議論する透明性の高いガバナンス体制
― IDECでは、2012年に取締役の半数を社外取締役で構成するなど、早い段階から社外取締役を任用しており、取締役会でも自由闊達にご質問やご意見を述べていただいています。このようなガバナンス体制、取締役会の構造、運営などをどのように評価されていますか。
(姫岩)
取締役会、監査等委員会、指名委員会も含めて、過半数が独立した社外取締役で構成されており、透明性のあるガバナンス体制だと思っています。また、早くから株主総会の招集通知に取締役のスキルマトリックスを明示していくなど、先進的に取り組めていますね。
(金井)
おっしゃるとおりですね。私が就任した当初から、社外取締役が過半数を占めていて、先進的だという印象を受けました。
特に、IDECよりも事業規模が大きく先行しているグローバルメーカーの経営経験者を社外取締役として任用し、アドバイスを求めようとされている姿勢に、社長自身の強い意志を感じました。
社内出身の取締役を多数にすれば楽な取締役会にできるけれど、あえて社外を多数任用し、取締役会で、質問や提言を受けて、それに対し一つひとつ説明して、聞くべきことは虚心坦懐で聞く。社外取締役が当初から機能していたし、機能できるような取締役会にしていこうという経営者の意志を実感しています。
(姫岩)
取締役会での議論をさらに充実していくためには、事前検討できる時期に会議資料をもらえるとありがたいですね。
(金井)
経営会議の議論を踏まえて議案や資料を準備されるので、なかなか難しい面もあると思いますけど、例えば資料の案内時に、新しい議案や重要な議案にはそのポイントなどをコメントいただけると嬉しいですね。
外部の専門家だからこそ見えること、言えることを大切に
― 取締役会以外でも、個別事案についてご意見を伺ったり、監査等委員会や指名委員会にご参加いただくなど、社外取締役としてご活動の幅が増えてきています。ガバナンス向上を意識しながら、社外取締役として日々どのような意識を持って取り組んでいただいているでしょうか。
(姫岩)
私は会計の専門家なので、会計の目線でアドバイスすることを意識しています。外部の会計専門家からアドバイスする方が経営者は分かりやすいですし、耳を傾けてくれやすい。どんな会社でも会計不正をおこす可能性はあるので、ガバナンスがきちんと効いているか特に意識し、不透明なところがあれば質問をするよう常に意識しています。
監査等委員会の中でも、リスクの芽を早期に発見し、経営へ報告することが大切だと考えています。
(金井)
取締役会の場では、よく分からないことや、納得できないところは積極的に質問して、事実関係をしっかり把握することが大切だと思っています。リーガル面で言うと、大きな意思決定をする際に取締役間で十分な議論を行い、専門家の意見も求めて、取締役会として最適なビジネスジャッジをしたのかが大切です。APEM社買収の際も、社外取締役は色々な意見を出していましたし、何度も議論して長い時間をかけて検討を進めていましたよね。そういうプロセスがきちんと取られているかどうかは、リーガルの観点から意識したいと思っています。
(姫岩)
そうですね。形だけでなく、社外取締役から色々な意見を聞いて、しっかり議論しようとする経営者の姿勢を感じますね。
持続的な成長に向けては、次世代育成と本業でのESG活動が課題
― ポストコロナとして、将来の見通しが不透明な状況であり、ESGなど非財務要素への対応など、企業として対応すべき事項が刻々と変化しています。IDECの現在の課題と、今後企業価値を高めていくためのアドバイスがあればお聞かせください。
(姫岩)
後継者育成というのは、一つの大きな課題でしょうね。いつまでも今の体制を継続できる訳ではないので、時期が来れば次の体制を築かなければいけない。そういう意味では、今まさに後継者育成は重要な課題であり、そのために指名委員会を立ち上げて検討に入っているところですね。
(金井)
機関投資家も含め、多くのステークホルダーが関心を持っているところですよね。ポジティブに捉えてもらえるように、どうアナウンスしていくかも考えどころだと思います。
(姫岩)
現在の経営層は強力なリーダーシップがあり、例えば機動的な自社株買いなどの事例をみても、積極的に企業価値向上を意識して行動している。アナリストの皆さんも、次世代がどうなるかは興味のあるところでしょうね。強力なリーダーシップ体制も、集団指導体制でも企業は機能していく。いずれにせよ、次の世代を早く見える化していくことが大事でしょうね。
(金井)
次世代がそれぞれ主体的に、自分の専門分野は自分が最終意思決定者だという意識を持つことが大切だと思います。
サステナブルに貢献できる製品をもっと社会に打ち出していく
(金井)
IDECの取り扱っている製品は、「安全」などサステナブルとの関連も大きい。こういった側面を、もっと社会に打ち出していくことができるのではと思っています。
(姫岩)
CSR委員会などで従来から活動されていますが、これからはESGの活動をいかにビジネスと結び付けていくかという視点が必要になってくる。人の安全を守る製品は、事故や労働災害を起こさないために社会でますます必要になり、IDECにとっても追い風になっていくでしょうね。ESG活動がコストアップ要因ではなく、収益にいかに貢献できるかという視点で考えていきたいですね。
(金井)
そうですね。そういう視点は、ますます大事になると思います。CSR活動をスタートさせた頃は、その活動とビジネスがなかなか結び付いてこなかった。活動自体の発想はよくても、収益がないと続けられないですものね。本業でESGに結び付くことをもっともっとやりましょう。
議場を離れた取締役間のコミュニケーションも重要
― 最後に、社外役員交流会で取り上げたいテーマや情報提供の環境づくりなどについて、希望されることがあれば教えてください。
(金井)
新型コロナの影響もあって、この数年はなかなか皆さんとお会いして、お話しできる場がありませんでした。新しい取締役も来られますし、もっと交流できる場が欲しいなと思います。
(姫岩)
2020年の交流会では、執行役員や各部門責任者から製品の話を聞くことができ、とてもよかった。最新の製品や事業に関する情報を与えてもらえる機会は大事ですね。
(金井)
実際製品を見ながらの説明は、よく分かりましたね。
(姫岩)
発表者は準備も含め大変だと思いますが、プレゼンのトレーニングにもなりますし、社外取締役から出た質問や意見が新しい発見や励みにつながるかもしれないですしね。またやってほしいと思います。工場見学なども実施してもらえたらいいですね。
(金井)
取締役会の議場だけでなく、世間話も含め、取締役同士でざっくばらんに話せる場を作って、会社の状況や経営の考えなど色々な情報交換をすると、社外取締役自身の意識も高まりますし、やはりそういった機会は必要だと思いますね。