IFRSサステナビリティ開示基準に沿った情報開示
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気候変動対応部門名称と役割概要
名称 | 概要 | 開催回数 |
取締役会 | 気候変動に関わる重要事項の監督 | 年7回※ |
経営会議 | 気候変動に関する重要事項の決定 | 年8回※ |
委員会 | 気候変動に関する重要事項の検討、経営会議への上程 | 年2回 |
環境戦略委員会 | 気候関連の機会の管理 | 月1回 |
リスクマネジメント委員会 | 気候関連のリスクの管理 | 年2回 |
担当役員 | 環境担当 上席執行役員 | |
担当部門 | 経営戦略企画本部、環境推進室、経理部、人事総務部、サステナビリティ推進室 |
※サステナビリティ委員会の上程事項の決定・監督は年2回 | ページトップに戻る |
戦略DECグループでは、環境戦略を自社の事業戦略の重要な一部と捉え、移行計画を中期経営計画に反映させています。具体的には、カーボンニュートラルを目指して、CO2排出量削減の指標と目標を定め、他の環境対応目標と合わせて中期経営計画のサステナビリティKPIとしています。 事業に関しては、環境配慮型製品の開発や環境エネルギー事業などに代表される、環境に関わる事業活動の事業貢献度の向上に計画的に取り組んでいます。そのため、リスクと機会の分析は、環境戦略を事業戦略に取り込む上での重要なプロセスと考えており、「気候関連のリスクと機会」項目の検討にあたり、自社の移行機会となり得る要素を基に企業の見通しに合理的に影響を与えることが予想される項目の特定を環境戦略委員会で実施しています。 次に、特定した項目それぞれがIDECグループの事業モデルに与える現在および予想されうる将来への影響や今後の対応を検討し、一覧表にまとめています。さらに、事業に与える潜在的影響額、リスク対応費用、機会を実現するための費用を算出しています。検討した内容は、今後の中長期の経営計画に段階的に反映させて、より具体的な行動計画へと落とし込んでいきます。 環境関連事業活動の中核の一つとなる、環境配慮型の製品開発に関しては、その必要性と事業貢献に関わる重要性、そして移行機会を活かしたビジネスチャンスの創出を、各部門へこれまで以上に浸透させていきます。 | |
気候レジリエンス国際エネルギー機関が発行する「世界エネルギー展望2023年度版(WEO2023)」の報告では、2020年以降、世界のエネルギー事情は不安定な状態が続く一方で、クリーンエネルギーへの投資は2020年以降で40%上昇し、全世界の自動車総販売台数に占める電気自動車の割合は、2020年の25台に1台から2023年は5台に1台と、3年間で5倍増加しています。 WEO2023によると、1.5℃への道筋は難しいものの、持続可能なエネルギーシステムへの移行が進み、太陽光発電や電気自動車が主導する新たなクリーンエネルギーの出現が1.5℃実現の鍵となることが認識されています。 これらの状況を踏まえた上で、2023年度のIDECグループの選定シナリオは、2022年度と同様に移行リスクシナリオはWEO2023のSTEPS(2.6℃シナリオ)とNZE(1.5℃シナリオ)を、物理的リスクシナリオはIPCC第5次報告書のRCP2.6(2℃シナリオ)とRCP8.5(4℃シナリオ)を採用しました。 リスクと機会の分析に至る前の、シナリオ分析の際には、WEO2023、世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueduct Water Risk Atlas 3.0、その他の人口統計ツールおよび気候変動マッピングツールを用いて、IDECグループ主要製造拠点の天候パターン、想定される物理的リスクと発生確率、主要地域の気候関連政策、エネルギー使用とその構成要素を確認し、グローバル主要製造拠点の物理的リスクと事業に与える影響を想定しています。 | WEOシナリオごとのエネルギー関連CO2排出量推移
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各シナリオで想定した世界像を以下にまとめました。
1.5℃、2℃の世界像
移行リスク | 炭素税(炭素価格)の大きな上昇 規制物質、エネルギー使用の制限強化 環境税の導入 |
移行に伴う機会 | 新エネルギーのビジネス機会 炭素封じ込め技術の発展(陸と海) 炭素クレジット取引の増加 省エネルギー、リサイクルビジネスの拡大化 |
物理的リスク | 気温の上昇(+2.0℃まで) 災害発生頻度の増加、災害規模の拡大 降水量の増加 |
4℃の世界像
移行リスク | 移動制限の増加 |
移行に伴う機会 | 対環境防護衣料の開発・普及 自動化の促進(ロボット) 炭素税・規制の緩和 利用可能なエネルギー選択肢の増加 代替食料生産ビジネスの活発化(遺伝子組み換え食品) 働き方の変化 |
物理的リスク | 気温の大幅な上昇(+4.0℃) 災害発生規模の大幅な増加、災害規模の大幅な拡大 降水量の大幅な増加 海面の大幅な上昇 未知感染病の発生、拡大 食料危機 砂漠化の拡大による水不足 漁場の変化 紫外線増加 |
リスクと機会環境戦略委員会を中心に、環境情報開示のグローバルスタンダードの一つであるCDP質問書のリスクと機会項目を参考にしながら、IDECグループの見通しに合理的に影響を及ぼすと予想されるリスクと機会の洗い出しを行いました。「IFRS S2実施に関する産業別ガイダンス」で定義された産業別開示トピック (電気電子機器産業) の適用可能性を参照・考慮しながら、物理的/移行リスクの識別、短期~長期のいずれかの期間で合理的に発生することが予想される気候関連リスクと機会の影響、財務上の潜在的影響の特定、期間の定義を行いました。 |
主要なリスク一覧
カテゴリ | 記号 | 項目 | 財務上の潜在的影響 | IDECグループの対応 | |
移行リスク | 市場 | ❶ | 原材料のコスト増加 | B/E | ・継続的なサプライヤーや顧客との相互理解の深耕を行ったうえでの価格転嫁の対応 |
❷ | 顧客や投資家の環境志向の高まり | C/D | ・環境戦略を中長期計画の重点項目の一つに位置付けると共に、環境配慮強化型製品の新製品累計比率の向上などを環境に関するマテリアリティKPIとし、進捗確認を実施 | ||
技術 | ❸ | 競合他社に対する既存/ | C | ・長期的な他社との協業により自社にない技術の計画的取り込みと自社コア技術との融合 | |
現在の規制 | ❹ | カーボンプライシングの動向 | B/E | ・計画的な自家消費再生エネルギーの導入による、エネルギー購入料金上昇の影響抑制 | |
物理的リスク | 慢性 | ❺ | 自然災害(豪雨、霰・雹、雪/氷)、 サイクロン、ハリケーン、台風、洪水、浸水、地震) と気温上昇 | D | ・自社のレジリエンス性を高めるためのBCP対策の充実 |
A: 直接費の増加、B: 直接費と間接費の増加、C: 製品およびサービスに対する需要減少に起因した売上減少、D: 生産能力低下に起因した売上減少、E: 設備投資の増加
より詳細なリスク一覧はこちらをご覧ください。
主要な機会一覧
分類 | 記号 | 項目 | 財務上の潜在的影響 | IDECグループの対応 |
リソースの効率 | ❶ | R&D及び技術革新を通じた低排出商品や多様な新製品やサービスの要求 | A/B | ・主力製品群に対する環境側面も踏まえた技術革新の加速 |
消費者の嗜好の移り変わり | B | |||
② | リソースの代替/多様化/新技術への移行 | B | ・自社のこれまでの保有技術の延長線上からの脱却 | |
製品及びサービス | ❸ | 分散的エネルギー生成への移行とそれに伴う新市場への参入 | A | ・新市場に対する、太陽光発電ビジネスやファインバブルソリューションなど、環境関連事業の展開 |
再生可能エネルギープログラムへの参加および省エネ対策の適応 |
A: 新市場と新興市場への参入を通じた売上増加、B: 製品とサービスに対する需要増加に起因する売上増加、C: 間接費 (運営費) の減少
より詳細な機会一覧はこちらをご覧ください。