IFRSサステナビリティ開示基準に沿った情報開示
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気候変動対応部門名称と役割概要
名称 | 概要 | 開催回数 |
取締役会 | 気候変動に関わる重要事項の監督 | 年7回※ |
経営会議 | 気候変動に関する重要事項の決定 | 年8回※ |
委員会 | 気候変動に関する重要事項の検討、経営会議への上程 | 年2回 |
環境戦略委員会 | 気候関連の機会の管理 | 月1回 |
リスクマネジメント委員会 | 気候関連のリスクの管理 | 年2回 |
担当役員 | 環境担当 上席執行役員 | |
担当部門 | 経営戦略企画本部、環境推進室、経理部、人事総務部、サステナビリティ推進室 |
※サステナビリティ委員会の上程事項の決定・監督は年2回 | ページトップに戻る |
戦略IDECグループでは、環境戦略を自社の事業戦略の重要な一部と捉え、移行計画を2025年度からの中期計画に反映させるべく、環境配慮強化型製品の売上目標額をKPIに導入しました。これにより、事業活動における環境貢献度の向上に計画的に取り組みます。 また、サプライチェーンエンゲージメント率のKPI設定やCSR調達ガイドラインとグリーン調達ガイドラインの改定など、サプライヤーとのバリューチェーン構築を加速させています。カーボンニュートラル実現に向けたCO2排出量の削減、産業廃棄物の削減とリサイクル量の増加など、さまざまな環境対応活動にも継続的に取り組んでいます。 こうした移行計画に関わる活動は、IDECグループのパーパスである、「世界中の一つの安全・安心・ウェルビーイングの実現」への貢献に対し、環境側面における調和のとれた取り組みになっています。なお、IFRS S2号に沿った情報開示をはじめとするESG関連情報は、2023年度より有価証券報告書にも掲載しています。 | |
気候レジリエンス国際エネルギー機関が発行する「世界エネルギー展望2024年度版(WEO2024)」の報告では、世界的な地政学的緊張と分断により、世界はエネルギー安全保障リスクに直面しており、これは排出削減に向けた協調的な取り組みに対する大きなリスクとなっていると述べています。 地政学的リスクが多く存在する一方で、市場の根本的なバランスは緩和されつつあり、さまざまな燃料や技術間で激しい競争が繰り広げられる準備が整いつつあるとも説明されています。クリーンエネルギーの勢いは依然として強く、2030年までに各種化石燃料需要のピークをもたらす見込みです。 これらの状況を踏まえた上で、2024年度のIDECグループの選定シナリオは、2023年度と同様に移行リスクシナリオはWEO2024のSTEPS(2.6℃シナリオ)とNZE(1.5℃シナリオ)を、物理的リスクシナリオはIPCC第5次報告書のRCP2.6(2℃シナリオ)とRCP8.5(4℃シナリオ)を採用しました。 | WEOシナリオごとのエネルギー関連CO2排出量推移 |
各シナリオで想定した世界像を以下にまとめました。
1.5℃、2℃の世界像
移行リスク | 炭素税(炭素価格)の大きな上昇 規制物質、エネルギー使用の制限強化 環境税の導入 |
移行に伴う機会 | 新エネルギーのビジネス機会 炭素封じ込め技術の発展(陸と海) 炭素クレジット取引の増加 省エネルギー、リサイクルビジネスの拡大化 |
物理的リスク | 気温の上昇(+2.0℃まで) 災害発生頻度の増加、災害規模の拡大 降水量の増加 |
4℃の世界像
移行リスク | 移動制限の増加 |
移行に伴う機会 | 対環境防護衣料の開発・普及 自動化の促進(ロボット) 炭素税・規制の緩和 利用可能なエネルギー選択肢の増加 代替食料生産ビジネスの活発化(遺伝子組み換え食品) 働き方の変化 |
物理的リスク | 気温の大幅な上昇(+4.0℃) 災害発生規模の大幅な増加、災害規模の大幅な拡大 降水量の大幅な増加 海面の大幅な上昇 未知感染病の発生、拡大 食料危機 砂漠化の拡大による水不足 漁場の変化 紫外線増加 |
リスクと機会環境戦略委員会を中心に、環境情報開示のグローバルスタンダードの一つであるCDP質問書のリスクと機会項目を参考にしながら、IDECグループの見通しに合理的に影響を及ぼすと予想されるリスクと機会の洗い出しを行いました。「IFRS S2実施に関する産業別ガイダンス」で定義された産業別開示トピック (電気電子機器産業) の適用可能性を参照・考慮しながら、物理的/移行リスクの識別、短期~長期のいずれかの期間で合理的に発生することが予想される気候関連リスクと機会の影響、財務上の潜在的影響の特定、期間の定義を行いました。 |
主要なリスク一覧
カテゴリ | 記号 | 項目 | 財務上の | 想定リスク | IDECグループの対応 | |
移行リスク | 市場 | ❶ | 原材料のコスト増加 | B/E | ・世界的な自然災害、人的災害等による工場の稼働停止、輸送の停滞 ・それに伴う部品・材料不足、輸送費・人件費・エネルギー費高騰の連鎖 ・エコマテリアル、環境負荷の低い素材・技術の採用 | ・継続的なサプライヤーや顧客との相互理解の深耕を行った上での価格転嫁の対応 |
❷ | 顧客や投資家の環境志向の高まり | C/D | ・環境負荷の高い製品や取り組みに対する批判の高まりによる、需要の低迷、企業価値の棄損 ・サービスが購入の判断材料となるウェイトの増加 ・産業製品分野における時流の急速な変化 ・ステークホルダーからの信頼低下 | ・環境戦略を中長期計画の重点項目の一つに位置付けるとともに、環境配慮強化型製品の新製品累計比率の向上などを環境に関するマテリアリティKPIとし、進捗確認を実施 | ||
技術 | ❸ | 競合他社に対する既存・ | C | ・産業製品分野における環境対応で付加価値を生む新製品の急速な出現とその顧客ニーズの増加 ・GHG排出量に新たな規制施行 ・気候変動による産業用装置の故障リスクが増加 | ・長期的な他社との協業により、自社にない技術の計画的取込みと自社コア技術との融合 ・規制情報の定期的な監視による、情報の早期入手、事業戦略や製品開発に反映できる体制づくり ・気候変動による極端な気象や温暖化に適応するための設備や機器の耐久性強化 | |
規制 | ❹ | カーボンプライシングの動向 | B/E | ・気候変動対策・CO2排出量削減の世界的気運の高まり早期化、各国政府が炭素税の導入 ・カーボンプライシングの日本での導入(2028年~)で炭素税がエネルギー料金に上乗せ、それに伴う原材料の製造コスト増加 ・規制強化による収益性の低下、省エネ目標の必達義務 | ・省エネ設備への計画的更新の立案と実施 ・工場の省エネ、稼働率向上への努力による、間接費削減 ・ICP導入による脱炭素活動の推進 ・排出量削減に必要な技術への投資、排出削減目標を定期的に管理するシステムの導入 | |
物理的リスク | 緊急性/ 慢性 | ❺ | 自然災害(豪雨、霰・雹、雪/氷)、 サイクロン、ハリケーン、台風、洪水、浸水、地震) と気温上昇 | D | ・地球温暖化の影響による局地的豪雨やサイクロン、ハリケーン、台風など自然災害の発生頻度増大、降水パターン、気象パターンの極端な変動 ・世界各地での異常気象などによる災害の多発による生産活動の低下(電力供給不足、設備被害、従業員出勤不能など)やサプライチェーンの混乱 ・気候変動による新ウィルスなど伝染病の蔓延 ・気温上昇による冷房コストの増加、生産性の低下、寒波の長期化による輸送網の混乱 | ・自社のレジリエンス性を高めるためのBCP対策の充実 ・サプライチェーンのリスク評価や見直し ・生産拠点のハザードマップ作成、潜在的リスクの把握とその地域に特化した防災計画の策定 ・拠点毎ごとの復旧計画立案、従業員の作業手順のマニュアル化 ・主力製品に対する生産拠点のマルチ化 |
A: 直接費の増加、B: 直接費と間接費の増加、C: 製品およびサービスに対する需要減少に起因した売上減少、D: 生産能力低下に起因した売上減少、E: 設備投資の増加
主要な機会一覧
分類 | 記号 | 項目 | 財務上の潜在的影響 | 想定機会 | IDECグループの対応 |
リソースの効率 | ❶ | R&D及び技術革新を通じた低排出商品や多様な新製品やサービスの要求 | B/A | ・資源の有効活用にともなうリサイクルの要求または活発化 ・ライフサイクルを通じた製品の低排出量化への要求の増大 ・GX債や補助金などの政治的施策 ・温室効果ガス排出量削減程度による購入先選定 | ・主力製品群に対する環境側面も踏まえた技術革新の加速 ・リサイクル容易な素材の製品への応用研究 ・開発への投資加速による先行優位の確保 ・ライフサイクルアセスメント(LCA)の導入 |
❷ | リソースの代替/多様化/新技術への移行 | B | ・気候変動に伴う様々な労働環境の変化に対応する新たな技術革新への要求の増大 ・労働環境の多様化や生産年齢人口の減少による無人化や遠隔技術の発達 ・過酷な危険を伴う労働環境へのロボット普及 ・省人化要望によるオートメーションシステムの売上増 | ・自社のこれまでの保有技術の延長線上からの脱却 ・M&Aや業務提携などの推進、人材採用・育成によるソフトウェアやシステム関連技術の強化 ・ニーズの多様性への対応のための、他社や学術機関との提携・協業等による新たな技術の取り込み推進 ・HMIやセンシング技術を活用した製品の開発、システム化・パッケージ化による提案 | |
製品およびサービス | ❸ | 分散的エネルギー生成への移行とそれに伴う新市場への参入 | A | ・世界的な気候変動に対する移行対応の進展 ・電力以外のクリーンエネルギーの活用、省力化技術や省エネ製品の需要拡大 ・排出量削減施策としての、様々な再エネ開発、省エネ対策プロジェクトの立ち上がり | ・新たな市場への参入、技術革新、競争優位性の確保 ・新市場のニーズを踏まえた、HMIやセンシング技術を活用した製品開発、課題解決型ソリューションの提案 ・地域特性に応じた製品やサービスを提供するローカル化戦略実施 |
A: 新市場と新興市場への参入を通じた売上増加、B: 製品とサービスに対する需要増加に起因する売上増加、C: 間接費 (運営費) の減少