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社会ルール形成/国際標準化

社会ルール形成を通じた社会課題の解決

IDECでは、国際標準化活動に積極的に参画することで、社会ルール形成に携わってきました。
1960年代から1990年代までは、主にルールを活用することで市場を拡大してきましたが、1990年代からはIEC(国際電気標準会議)やISO(国際標準化機構)の専門委員会に積極的に参画し、グローバル社会における、新たな技術開発に対応した国際安全規格づくりを提案し、推進するなど、IDEC自身がルールを形成していく活動を積極的に行ってきました。
そして2017年以降は、Vision Zeroやウェルビーイングといった、新しい考え方を基にしたルール を創成する活動に注力することで、パーパスである「人と機械 の最適環境を創造し、世界中の人々の安全・安心・ウェルビーイングを実現」することを目指しています。
国際標準化活動を3つの分類で定義しており、専門部隊である「国際標準化・協調安全4次元推進部」を本社内に設置し、さまざまな活動を推進しています。
3つの中でも特に、日本のリーダーシップで世界に提唱する、「創成型」や「先行型」 の国際標準化活動に注力しており、OJTを通じた人材育成も 継続的に行うことで、事業のさらなる成長を目指しています。


具体的な活動事例のご紹介

■IECにおける活動

IECに設置されている6つの技術諮問委員会のうちの、安全諮問委員会(IEC ACOS)において、日本代表として「協調安全/ Safety2.0」を紹介し、協調安全に関するIECガイド作成の必要性を提案しました。
その結果、2022年にIECガイドの開発が承認され、 今後各国の投票を経て正式に発行される見込みとなっています。
また、Control Switchのワーキンググループをはじめとする、さまざまな国際標準化会議にエキスパート登録し、国際規格開発に参画す ることで、グローバルシェア90%以上となる3ポジションイネーブル装置の規格開発や、非常停止用押ボタンスイッチ規格の改定に大きく貢献しました。
イネーブル装置の2022年度までの累計出荷台数は630万台を超えており、生産現場だけでなく、建設業界など幅広い現場における安全・安心・ウェルビーイング向上に貢献しています。


■ISOにおける活動

ロボットの安全に関する技術委員会のワーキンググループに参画し、協働ロボットを含めたさまざまな産業用ロボットや、ロボットセル、システムの安全性の国際標準である、ISO 10218シリーズの開発を行っています。自動車や半導体産業の拡大、ものづくりの自動化、労働人口減少による人代替作業の増加など、産業用ロボットの活用が世界中で拡大するとともに、人との作業を安全に行うためのHMIや安全機器が必要とされています。
IDECは、安全・安心・ウェルビーイン グの拡大に有効な、さまざまなHMI・安全関連機器を提供していることから、これまで培ってきた製品知識・安全知識により、規格の開発・改定に貢献しています。
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人と機械が協働する時代の職場において、安全のその先を実現するウェルビーイングに貢献

IDECでは、主力製品であるスイッチの国際規格が海外主導で作られたため、当時のスイッチの丸穴サイズが規格から外れてしまい、シェアを落とした苦い経験があります。
この経験から、上席執行役員の藤田俊弘は、日本から国際標準化活動を行うことの重要性を知り、多くの欧米企業や標準化機関、認証機関を訪問し、交流を重ねることで、日本リードでの国際標準化活動の牽引役として尽力してきました。
また日本発の国際標準化活動推進のため、日本認証株式会社(JC)、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)、一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP)の設立を提案・実践し、経済産業省の支援を得ながら新たなルール形成を積極的に推進するなど、日本における国際標準化活動に大きく貢献することで、経済産業省の令和4年度「産業標準化事業」において、内閣総理大臣表彰を受賞しました。これまでの主な活動内容についてご紹介します。


■産業用ロボットなど多様な現場の安全性向上に貢献

日本企業が世界シェアの60%を有し、基幹産業の一つである産業用ロボットの安全性向上に貢献する3ポジションイネーブル装置を開発し、IEC規格を2006年に発行しました。国内だけでなく、海外メーカーのロボット安全操作用装置として広く普及し、現在ではグローバルシェア90%以上を獲得しています。
また2020年には、従来のロボットティーチング装置だけでなく、工作機械や建設機械における安全装置としての適用例などを、当該規格に盛り込む改正を主導しました。
この改正により、多くの装置や建設現場など新しい分野でも有効であることが示され、人と機械が共存する、さまざまな現場における作業者の安全確保に寄与しています。
 

■日本発で次世代の安全思想「協調安全/Safety2.0」を提唱し、グローバルに発信

人と機械を隔離するのではなく、人と機械 と環境がICTを活用して情報を共有すること で、安全性と生産性との両立を目指す、協調 安全/Safety2.0を日本から推進するため、 IGSAPを設立し、安全に関する国際標準化 活動を推進してきました。
2020年からは、国連専門機関であるILO (国際労働機関)がリードしている、Global Coalition for Safety and Health at Work (労働安全衛生グローバル連合)のVision Zero推進タスクグループのメンバー6名のうちの1名に選ばれ、アジアか らの唯一の代表として、 安全、健康、ウェルビー イングのルール形成活動 に参画しています。
2022年に実施したVision Zero Summit Japan 2022の推進 責任者に任命され、5月のサミット開催時には、新しいマニフェストの基盤となる「すべての人のためのビジョンゼロ東京宣言」に、協調安全を包含する形での取りまとめに尽力しました。


■機械安全の要員資格認証制度の構築と国際標準化に向けた活動を推進

一般社団法人日本電気制御機器工業会(NECA)で、経済産業省の支援・指導を受けつつ、機械を安全に設計・運用する要員の育成と認証を目的とした、安全要員資格制度(セーフティアセッサ(SA)制度)を提案、制度開発を行うなど、立ち上げに尽力しました。2003年には工業会規格を制定し、日本発のグローバル認証機関を目指すJCを創業して、2004年からSA制度運用を開始するとともに、グローバルでの普及を進めています。ODA制度の採択などを通じ、アジア7か国を含む国内外で2.5万名を超えるSA制度資格者の普及を実現することで、国内外の生産現場の安全確保に貢献しました。
またIGSAPにおいて、従来の技術者向けのSA制度に加え、経営層向けのセーフティオフィサ(SO)制度も新設し、国内外の企業に採用していただくことで、さらなる事故削減に貢献しています。


日本発の「ファインバブル」の 国際標準化を推進

ファインバブル技術を日本発の産業とし、新市場を創造していくため、経済産業省の支援を得て、標準化実施母体となるFBIAを設立するとともに、ISOに提案し、ISO/TC281(ファインバブル技術)を設立しました。
技術委員会運営にも戦略的に関与し、日本代表委員として参画、定義・計測・応用に関する日本発の国際規格15件の発行を牽引しました。
また国内において、標準化と両輪となる認証制度の構築も行い、2021年度末で31件の実績があるなど、日本主導でファインバブルに関する国際規格体系を創成することで社会認知が向上し、ファインバブル産業の創造と成長に大きく寄与しました。
※ ファインバブルは、直径が100μm(=0.1mm)より小さな泡の ことで、さまざまな業界における活用が期待されています。