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グループ安全規格 ISO14119:2013

ISO14119は「機械類の安全性-ガードと共同するインターロック装置(注1)-設計及び選択のための原則」を示した規格(B規格)です。主に、以下の事項が記載されています。
 ・インターロック装置の種類とその分類
 ・ガードが開いている時には機械を停止すること
 ・機械が停止するまでの時間に応じて、危険な機械機能が稼働中はガードをロックすること
 ・合理的に予見可能な方法によるインターロック装置の無効化(注2)を最小にする方策
 ・上記を踏まえた上で、ガードとインターロック装置の設計および選択についての要求事項
 

注1)インターロック装置とは、特定の条件(一般的にはガードが閉じていない場合)の下で、危険な機械機能の運転を防ぐことを目的とした機械装置、電気装置またはその他の装置のこと。なお、IDECでは扉の開閉検出用インターロック装置のことを「安全スイッチ」と呼んでいる。

 
注2)無効化とは、インターロック装置を不作動にする、またはバイパスする行為。結果として、設計者の意図しない方法で、または必要な安全方策が無い状態で機械が使用される。

なお、以下に記載する内容はJIS B9710:2019の一部を引用し、IDECの解釈にて説明を加えております。内容ついて疑問・不明点等があれば、ISO/JIS原文もご確認ください。

アクチュエータの作動原理に基づくインターロック装置の分類

図1および表1に示すように、ガードに取付けるインターロック装置は、作動原理が機械式か非接触式か、アクチュエータが専用設計されているかどうかによって、タイプ1~4の4つのタイプに分類されます。タイプ毎に無効化の容易さが異なることもあり、ガードと組み合わせる時の要求事項が異なります。
 

 

タイプ2インターロック装置(安全スイッチ)の解説は以下のリンク先にてご確認ください。


 

タイプ4インターロック装置(非接触安全スイッチ)の解説は以下のリンク先にてご確認ください。

表1にある「コード化」とは、特定のインターロック装置を作動させるために、アクチュエータを専用設計としているかどうかを示しています。
例えば、タイプ3の磁気式インターロック装置の場合、磁気に反応する金属であれば、どのような金属であっても正規のアクチュエータの替わりにインターロック装置を作動させることができます。この場合、タイプ3の磁気式インターロック装置のアクチュエータはコード化なし、となります。
また、タイプ2のタン作動式位置スイッチ(IDECでは「安全スイッチ」と呼称)は、アクチュエータを専用設計としています。そうすることにより、定規やドライバーなどの工場現場で容易に利用可能な工具ではインターロック装置が作動しないように(無効化できないように)なっています。このような場合、タン作動式位置スイッチのアクチュエータはコード化あり、となります。

なお、コード化ありのアクチュエータは以下の表2に示すように、コード数によってコード化無し、低(Low)、中(medium)、高(high)にレベル分けされます。コード数が多い程、無効化しにくくなります。
 
   

施錠式インターロック付きガードを必要とする条件

一般的に、稼働中の危険な機械機能によって人が事故に遭わないようにするためには、危険な機械機能をガードで囲います。その際、全てを完全に固定されたガードで囲ってしまえば安全ではありますが、ワークの出し入れ、清掃などのメンテナンス、段取り替えなどにおける使い勝手を考慮すると現実的ではありません。そのため、ガードの一部を扉(可動式ガード)とし、その扉の開閉を検出するためにインターロック装置を備えたインターロック付きガードとすることが一般的です。そして、インターロック付きガードの機能として、扉が閉じている時は危険な機械機能を稼働可能とし、扉が開いている時は危険な機械機能は停止状態を維持することで、生産性と安全性のバランスを取ります。

このようなインターロック付きガードにおいて、まず検討しなければならないのが、ロック(施錠)が必要なのか、それとも不要なのかについてです。

この時、考慮すべき事は、以下の2つの時間の関係性です。
 ・人が扉を開いてから、危険な機械機能へ到達するまでの接近時間
 ・インターロック付きガードが開いた時に停止指令を発令してから、危険な機械機能が終止(注3)するまでの時間間隔(これを、総合システム停止性能と言う)
 
注3)終止とは、傷害または健康章障害を生じないレベルにまで危険な要因が低減された状態のこと。ただし、機械が完全に停止する前でも終止は達成されるが、いつの時点かを決定することが不可能な場合、機械が完全に動作が停止するまでの時間を考慮すること。


図2に示すように、この2つの時間の関係性によって、インターロック付きガードのロックの必要性を判断します。
 ・総合システム停止性能<接近時間 であれば、インターロック付きガードにロックは不要なので、施錠なしインターロック付きガードとする。
(扉を開けて人が接近するまでに、危険な機械機能が終止するため)
 
 ・総合システム停止性能≧接近時間 であれば、インターロック付きガードにロックが必要なので、施錠式インターロック付きガードとする。
(扉を開けて人が接近するまでに、危険な機械機能が終止しないため。ロックを解除するには、危険な機械機能が終止している必要がある。)

インターロック装置の機能ダイアグラム

前述のように、総合システム停止性能<接近時間であれば、扉を開けて人が接近するまでに危険な機械機能が終止するため、インターロック付きガードには安全上のロックは必須ではありません。
図3に示されるように施錠なしインターロック装置は、ガード閉の時、危険な機械機能は運転可能になります。また、ガードはいつでも開放でき、ガード開の時、危険な機械機能は運転不可能になります。


また、前述のように総合システム停止性能≧接近時間 であれば、危険な機械機能が終止する前に人が接近できないようにするために、インターロック付きガードにはロックが必要になります。なお、施錠式インターロック付きガードにおいては、図4に示されるように、解錠の条件が2種類あります。 1つは"a)条件なし解錠"、もう1つは"b)条件付き解錠"です。

ここで、a)条件なし解錠とは、いつでもオペレータがロック解除できるロック方式です。ただし、条件があります。例えばオペレータがロック解除ボタンを押して停止信号が発生してから、危険な機械機能が終止するまでの時間より、ロックが解除されるまでの時間が長い必要があります。
もう1つのb)条件付き解錠とは、危険な機械機能の終止以降でのみ、オペレータはロック解除できるロック方式です。この条件を満たすためには、何らかの手法で危険な機械機能の終止を検出する必要があります。

施錠式インターロック付きガードのロック方式

総合システム停止性能≧接近時間であり、施錠式インターロック付きガードが必要となった場合、ロックの方式は図5、図6のどちらかである必要があります。

スプリングロック方式:スプリングでロック、動力オンで解錠


図5はソレノイド端子に電圧が印加されていない状態を示しています。この時、スプリングの力でロッドが図中の左に移動し、カムにロックがかかっています。
なお、ソレノイドに電圧が印加されると、ソレノイドが励磁されることでロッドが図中の右方向に移動し、カムのロックが解除されます。

動力ロック/ロック解除方式:動力オンでロック、動力オンで解錠


図6はソレノイド端子にある方向に電圧が印加されている状態を示しています。この時、ソレノイドの励磁で発生した力によりロッドが図中の左に移動し、カムにロックがかかっています。
なお、ソレノイドに逆方向の電圧が印加されると、ソレノイドの励磁で発生する力が逆方向になることでロッドが図中の右方向に移動し、カムのロックが解除されます。

なお、図6のロック/ロック解除方式:動力オンでロック、バネで解錠については、安全上ロックは必要ないが、生産プロセスを保護するためにロックを行ないたい場合(例えば、生産中に勝手に扉を開けられたくないなど)においてのみ、使用することができます。

ソレノイドロック方式:動力オンでロック、バネで解錠


図6はソレノイド端子に電圧が印加されている状態を示しています。この時、ソレノイドが励磁されることでロッドが図中の左に移動し、カムにロックがかかっています。
なお、ソレノイドへの電圧印加を停止すると、圧縮バネの力でロッドが図中の右方向に移動し、カムのロックが解除されます。

なお、「スプリングでロック、動力オンで解錠」「動力オンでロック、バネで解錠」のより詳しい説明は以下のリンク先にてご確認ください。

インターロック装置の取付に関する要求事項

インターロック装置本体やアクチュエータ取付位置の調整ミスや、使用中の振動・衝撃による位置ズレが生じると、正しく扉の開閉を検出できなくなったり、インターロック装置が破損したりするなどの悪影響が生じます。そのため、インターロック装置に取付に関して以下の要求が規定されています。

インターロック装置本体の取付に関する要求事項

メーカー指示に従い、正しく取り付けられた位置が変化しないように、以下を満足する必要があります。
・ 取付は信頼でき、かつ、緩めるためには工具(注4)を必要とすること。
  注4)コインまたは爪やすりのような間に合わせの道具は工具とはみなせない。
・ タイプ1インターロック装置の場合、調整後、その位置に恒久的に固定する方法を備えること。(例えば、ピン、だぼ)
・ 保全および動作確認のためにインターロック装置に接近する手段を備えること。ただし、合理的に予見可能な方法による無効化防止を考慮しなければならない。
・ 自然に緩むことを防止すること。
・ 合理的に予見可能な方法によるインターロック装置の無効化を防止すること。
・ 予見可能な外部要因による損傷を回避する配置とすること。必要な場合、保護すること。
・ アクチュエータとインターロック装置本体の位置関係はメーカー指示に従うこと。
・ メカストッパとして使用しないこと。(メーカーが認める場合を除く)
・ 取付のミスアライメントにより、ガードの隙間から人体の一部が内部に侵入して事故に至ることがないこと。
・ 装置の正しい動きを維持できるように堅固に取り付けること。
・ タイプ2インターロック装置においては、ホコリによる機械部分の汚染、劣化を避けるため、アクチュエータ挿入用開口部に防塵カバー等を備えるか、開口部からホコリが侵入しない方向に取付けること。
 

アクチュエータ取付に関する要求事項(5.2項)

想定寿命の間、緩んだり、正しく取り付けた位置が変化する可能性を最小化するため、以下を満足する必要があります。
・ 取付は信頼でき、かつ、緩めるためには工具(注4)を必要とすること。
  注4)コインまたは爪やすりのような間に合わせの道具は工具とはみなせない。
・ 自然に緩むことを防止すること
・ 予見可能な外部要因による損傷を回避する配置とすること。必要な場合、保護すること。
・ メカストッパとして使用しないこと。(メーカーが認める場合を除く)
・ 装置の正しい動きを維持できるように堅固に取り付けること。

施錠式インターロック付きガードにおける危険な機械機能の起動条件

総合システム停止性能≧接近時間のために施錠式インターロック付きガードが必要となった場合、危険な機械機能を起動するには、ある条件を満足する必要があります。それは、扉が閉じていること、および、ロックされていることの両方を満足することです。
例えば図5に示すように、扉の開/閉検知用接点と、ロック/ロック解除検知用接点を直列に接続することで、この条件を満足できます。
もしくは、扉が閉まってロックされた時しかオンしないNC接点を安全スイッチの構造自体で実現することでも、この条件を満足できます。
このような扉が閉まってロックされた時しか危険な機械機能を起動できない回路には図8に示すロック監視マークが表示されています。

施錠式インターロック付きガードの追加解錠機能

ISO12100に規定されているように、リスクアセスメントの結果により安全対策を行った場合、新たな危険源を生じないかどうかを確認することは重要です。それは、安全上、施錠式インターロック付きガードが必要となった場合も同様です。総合システム停止性能≧接近時間のため、危険な機械機能が終止するまでは人が近づけないようにするために施錠式インターロック付きガードを設置しますが、それが新たな危険源を生じていないかを確認する必要があります。大小様々な機械がありますが、特に注意する必要があるのが、人の身体全体が施錠式インターロック付きガード内に入れてしまうような大きな機械です。このような大きな機械の場合、インターロック付きガードをロックすることで作業者や保守員が機械の内部に閉じ込められることによる新たな危険源が生じていないかを確認する必要があります。

もし、閉じ込められることにより新たな危険源が生じるのであれば、万一の時に外部からロックを解除するための「非常解錠機能」および、内部からロックを解除するための「脱出用解錠機能(図9)」備える必要があります。また、施錠式インターロック付きガードの故障時に外側からロックを解除する必要がある場合に備えて「補助解錠機能(図10)」が必要になることもあります。
 
IDECでは、これらの解錠機能を備えた各種安全スイッチをご用意しております。必要に応じてご選定ください。

インターロック装置の選定時に考慮すべきこと

静的なロック強度と動的なロック強度

インターロック付きガードにロックが必要な場合においては、インターロック装置のロック強度の確認が必要です。なぜなら、ロック強度仕様値を超える力によってロック機構が破損した場合、人が稼働中の危険な機械機能にさらされてしまうからです。
このような事態を防ぐため、扉の重量、扉を動かす動力(人が動かすのか、モーター等で動かすのか)などを考慮の上、必要とされるロック強度を満足する仕様のロックタイプ安全スイッチを選定する必要があります。

なお、注意すべきポイントとしては、一般的に安全スイッチの仕様として謳われているのは、静的な力に対するロック強度であるということです。ロック状態において、ゆっくりと扉を開く方向に力を加えていった時に、どれくらいの力まで耐えられるのかを示した値がロック強度の仕様値になります。

例えば、扉を勢いよく閉めた時の反動によるバウンスや機械の振動などによりロック機構に加わる動的な力については、ロック強度の仕様値では考慮されていません。そのため、機械の実運用上、扉を勢いよく閉めた時の反動によるバウンスや機械の振動などが繰り返し加わった場合、その動的な力がたとえロック強度仕様値以下の力であっても、思わぬ誤作動やロック機構の破損に繋がる可能性があります。

そのため、扉を勢いよく閉めた時の反動によるバウンスや機械の振動などをできるだけ抑えるような機械設計が必要になります。また、万が一に備え、ロック機構が破損した場合に、どのように壊れるのかを確認しておくことも安全上のポイントとなります。機械は停止するのか(安全側故障)、それとも停止しないのか(危険側故障)、それとも時と場合によりどちらにもなり得るのかについて、あらかじめ確認の上、機械を設計することが推奨されます。

IDECではロック機構破損時の故障モードも考慮した各種のロックタイプ安全スイッチを用意しています。用途に応じて選定ください。

インターロック装置の無効化を最小にする方策

インターロック装置は様々な理由で無効化されることがあります。例えば、扉を開けたまま機械を動かして調整作業を行いたい、頻繁な扉の開閉が面倒なので扉を開けたまま作業を行いたい、インターロック装置の不具合・故障などで頻繁に機械が停止するので作業効率が悪いから何とかしたいなど、様々な動機でインターロック装置を無効化したいと思うことがあります。とはいえ、インターロック装置を無効化すると作業者の安全が確保されないため、思わぬ事故が発生する可能性が極めて高くなります。
そのため、インターロック装置の無効化を防止することが重要になってきます。

1つは、機械を容易に運転できるようにするなど、機械の設計や作業プロセスを改善することで、無効化の動機がそもそも生じにくいようにする方法です。

もう1つは、無効化の動機を無くすことが難しいなら、表3に示すように、インターロック装置のタイプ毎に規定された方策により、合理的に予見可能な方法による無効化注の防止を行う必要があります。
 
注)手動または容易に利用可能なものを使用することによるインターロック装置の無効化。機械の意図する使用のために必要な工具、または、容易に利用可能な工具(ドライバ、レンチ、六角レンチ、ペンチ)を使用してインターロック装置本体やアクチュエータを取り外すことも含む。また、容易に利用可能なものとは、例えば、ねじ、針、金属片、鍵、コイン、粘着テープ、紐およびワイヤのような日常で使用するもの、予備のアクチュエータである。

注)インターロック装置の取付位置や取付方法によって実施される無効化に対する追加の方策(①‐1から①‐3)は、機械を現場に設置した状態で有効性を確認する必要があります。
 

接近の防止

制御システムによる無効化の防止

取外しできない固定

制御に関する要求事項

インターロック装置は制御システムの安全関連部として、扉が開いている時の危険な機械機能の起動を防止するため、機械毎の個別安全規格において要求パフォーマンスレベル:PLrや、必要なカテゴリが定められている場合があります。機械毎の個別安全規格をご確認ください。
なお、要求パフォーマンスレベルやカテゴリについては、以下のリンク先にてご確認ください。