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非接触安全スイッチとは

非接触安全スイッチは、扉に取り付けた専用アクチュエータと機械に取り付けたセンサヘッドが直接接触することなく、アクチュエータとセンサヘッド間の距離やアクチュエータからの情報をセンサヘッドで検出し、その信号を扉の開閉情報として伝達する機器です。
アクチュエータとセンサヘッドが物理的に接触しないので摩耗粉が生じない特長があります。さらに、開口部がなく凹凸も少ないので水や塵埃(じんあい)の影響を受けにくい特長もあります。

非接触安全スイッチの種類

非接触で扉の開閉を検出するインターロック装置は、ISO14119(JIS B 9710):機械類の安全性-ガードと共同するインターロック装置-設計及び選択のための原則において、以下の表1で示すType 3とType 4に分類されます。
注)コード化されたアクチュエータ:ある特定のインターロック装置を作動させるために特別に設計されているアクチュエータ。特定の組み合わせでしかインターロック装置が作動しないため、キー・コイン・工具等による無効化の防止効果がある。


IDECでは、Type 4に相当する2種類の非接触安全スイッチがあります。
1つがリードスイッチタイプの非接触安全スイッチであり、もう1つがRFIDタイプの非接触安全スイッチです。(図1、図2)

いずれの非接触安全スイッチでも、信頼性はもちろんのこと、以下の機能も求められます。

■無効化防止機能
■故障検出機能。故障したことを検出した場合に機械を停止させ、故障が解消されるまでその停止を維持する機能

リードスイッチタイプの非接触安全スイッチ

<構造と動作の原理>

リードスイッチタイプの非接触安全スイッチの概略構造を図3に示します。複数のリードスイッチが配置されたセンサヘッドと、そのリードスイッチに対応する複数の磁石が配置された専用アクチュエータとで構成されます。
機械にセンサヘッドが取り付けられ、扉に専用アクチュエータが取り付けられます。そして、扉が閉まるとセンサヘッド近傍の磁界が強くなり、リードスイッチの接点が動作します。扉が開くとセンサヘッド近傍の磁界が弱くなり、リードスイッチの接点は元の状態に戻ります。

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<無効化防止機能>

磁石とリードスイッチのペアが1組だけの場合、アクチュエータではなく市販の磁石を近づけただけでリードスイッチの接点が簡単に動作してしまいます。そのため、少なくとも2組の磁石とリードスイッチのペアを使い、全てのペアが動作したことをもって「正常である」と判断することで、市販の磁石などによる無効化防止対策としています。また、リードスイッチにはNO接点(ノーマルオープン。扉が開いているとき、開)と NC接点(ノーマルクローズ。扉が開いている時、閉)の両方を用いることで、配線短絡による無効化防止対策としています。

ただし、以上の対策で無効化を防いだとしても、交換用アクチュエータや扉から取り外したアクチュエータによる無効化の可能性は依然として残ります。そのため、アクチュエータを扉から取り外されないような対策や交換用アクチュエータの管理などを含めた安全管理体制が不可欠です。
詳しくは以下のリンク先にてご確認ください。

 

<故障検出機能>

一般にリードスイッチタイプの非接触安全スイッチは、安全リレーモジュールと呼ばれるコントローラと組み合わせて使用します。その主な理由は、リードスイッチの接点が直接開路動作機能を持っていないので、溶着により機械を停止できなくなる恐れがあることです。この溶着故障を検出するためには、非接触安全スイッチ内のリードスイッチ2回路分の信号の組み合わせをモニタリングする必要があります。正常ではない信号の組み合わせをコントローラが検出した場合には、溶着故障が起きたと判断して安全出力を停止し、機械を停止させます。その考え方の概略を図4に示します。この図では、2つある回路のうち1つ(リードスイッチB)が溶着した場合を想定しています。

なお、2回路分の信号をモニタリングしていても、2回路が同時に故障した場合、その同時故障は検出できません。そのため、リードスイッチにはNO接点(ノーマルオープン。扉が開いているとき、開)と NC接点(ノーマルクローズ。扉が開いている時、閉)の両方を用いることで、全てのスイッチが同時に故障する事態を防ぐようにしています。

<特長と用途>

前述の通り、非接触安全スイッチは物理的な接触が無いので摩耗粉が生じません。そのため、清浄な製造環境が要求される半導体やその応用製品を製造するクリーンルーム内設備のインターロック用途に向いています。
さらに、表面の凹凸が少ないのでセンサヘッドやアクチュエータに異物が付着・堆積しにくく、装置の丸洗いが不可欠な食品製造装置のインターロック用途にも使用されます。

一般に、非接触安全スイッチはメカ式安全スイッチよりもかなり小さいこともあり、図5に示すように回転半径の小さい窓にも配置できます。また、安全スイッチに比べて取り付け精度に少し余裕を持たせられます。
 

<使用上の注意点>

アクチュエータに磁石を使用しているので、他の磁石や強磁性体(鋼板)などが近くにある場合は、それらの影響を受けない距離に配置しなければなりません。機械設備にセンサヘッドやアクチュエータを取り付けるねじについても、強磁性体の素材は避ける必要があります。また、周囲に鉄粉など強磁性体の金属粉が存在する環境では、非接触安全スイッチを使用することはできません。

さらに、非接触安全スイッチは物理的な接触が無いという特徴上、物理的なロック機構がありません。そのため、扉を物理的にロックする必要がある場合、シリンダなどのロック機構が別途必要です。
 

RFIDタイプの非接触安全スイッチ

<構造と動作の原理>

RFIDタイプの非接触安全スイッチの概略構造を図6に示します。

扉に取り付けられたアクチュエータが、機械に取り付けられたセンサヘッドに近づくと、センサヘッド内のRFIDリーダがアクチュエータ内のRFIDからIDデータを読み取ります。それをあらかじめセンサヘッド内に記憶してあるIDと照合し、一致していれば扉が閉まったという情報を伝達します。

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<無効化防止機能>

RFIDタイプの無効化防止機能は、ユニコード式とマルチコード式の2種類があります。

■ユニコード式

RFIDリーダが、運用開始時にペアリングを行った特定RFIDコードを読み取った場合のみ、扉が閉まったという情報を伝達する方式です(図7)。ペアリングを行っていないアクチュエータを近づけても、扉が閉まったとは判断しません。そのため、非常に高いレベルの無効化対策を実現できます。これは、RFIDタイプの特長を最大限に生かした方式といえます。なお、ペアリング済のアクチュエータが扉から取り外されないような対策は必要です。

■マルチコード式

同じRFIDコードのアクチュエータであれば異なる個体でも扉が閉まったという情報を伝達する方式です。この方式でも無効化防止という点では、リードスイッチタイプよりも高いレベルを実現できます。ただし、リードスイッチタイプと同様に、アクチュエータが扉から取り外されないような対策や交換用アクチュエータの管理などを含めた安全管理体制が不可欠です。

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<故障検出機能>

ユニコード式もマルチコード式も、センサヘッドに内蔵されたコントローラ機能(内蔵ICとソフトウエア)により、自身で故障を検出することが可能です。
従って、故障診断用の外部コントローラは不要です。

まとめ

リードスイッチタイプとRFIDタイプについて、表2のとおり、無効化防止機能と故障検出機能を比較します。

なお、無効化防止機能に関しては、機械への取付方法や取付位置も考慮する必要があります。詳しくは以下のリンク先にてご確認ください。