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強制ガイド式リレーとは

図1は強制ガイド式リレーと汎用リレーの外観図です。
リレーにはさまざまな種類がありますが、機械の制御システムの安全関連部(SRP/CS: Safety-Related Part of a Control System)には強制ガイド式リレーが使用されます。強制ガイド式リレーは接点の切り替えというリレー本来の目的に加えて、自身の接点の溶着故障などを検知すると、故障が解消されるまで停止を維持する目的も合わせ持ちます。

強制ガイド式リレーの構造と動作

強制ガイド式リレーの構造と動作は表1のとおりです。
強制ガイド式リレーは、NO接点(Normal Open)接点とNC(Normal Close)接点が壁で仕切られていて、互いに絶縁されています。また、NO接点とNC接点はリンク機構(ガイド)によって機械的につながっており、コイルへの電圧の有無に応じて連動して動作する仕組みです。
このリンク機構(ガイド)により、下記の表1 状態3に示すように、NO接点が溶着して閉(close)のままになった場合、NC接点が開(open)を維持することが、強制ガイド式リレーの大きな特徴です。
 
なお、表1では強制ガイド式リレーの原理を説明するためにNO接点とNC接点を各1つで記載していますが、実際の製品では3つのNO接点と1つのNC接点を1セットとしているものが一般的です。

また、実際に強制ガイド式リレーを使用する場合は、例えば図2に示すK1, K2のように2つの強制ガイド式リレーそれぞれを、機械のモータなどの3相交流の動力制御用回路に3つのNO接点を接続し、1つのNC接点を監視用モニタ回路(図2のS33‐S34間)に接続します。
 
こうしておくことで、表1の状態1のようにコイルへの電圧印加がOFFであれば機械は停止状態であり、表1の状態2のようにコイルへの電圧印加ON状態でのみNO接点が閉(close)になり機械が稼働します。また、動力制御用回路にNO接点を用いることには、断線などでコイルへの電圧印加がOFFになるとNO接点が開(open)になることで機械が停止するため、安全を確保しやすくなるという特徴があります。

この時、表1の状態1のようにコイルへの電圧印加OFF状態(機械が停止している状態)ではNC接点は閉(close)であり、状態2のようにコイルへの電圧印加ON状態ではNC接点は開(open)になります。

なお、表1の状態3に示すような動力制御用回路の溶着がK1のNO接点に発生した場合、コイルへの電圧印可をOFFにしてもガイドによって連動している監視用モニタ回路のK1のNC接点は開(open)状態を維持しています。この時、K2は正常に作動しているため、K2の3つのNO接点が開(open)になることで機械を停止させることができます。また、監視用モニタ回路にK1、K2のNC接点を直列接続しておくことで、K1のNO接点溶着の影響によりNC接点が開(open)状態を維持しているため、S2のスタートスイッチを操作しても機械を稼働させることができなくなります。そのため、機械を再稼働させるには、溶着が発生しているK1の強制ガイド式リレーを正常品に交換する必要があります。

このように、強制ガイド式リレーを2つ用いることで、もし1つのNO接点が溶着したとしても機械を停止されることができ、かつ、再起動を防止することができるので、機械の安全性を維持できます。
 

その他の故障モード(板ばねの破損)

安全性を考える上では、板ばねの破損も考慮すべき重要な故障の1つです。
強制ガイド式リレーと汎用リレーについて、板ばねが折れた場合のそれぞれの状態を【図3】と【図4】に示します。
強制ガイド式リレーでは、NO接点とNC接点は壁によって仕切られています。そのため、どちらかの接点の板ばねが折れてももう一方の接点に影響を及ぼすことはなく、影響を最小限に抑えられます。

一方、汎用リレーはNO接点とNC接点が一体となったC接点を備えています。そのため、折れたバネが両方の接点を導通させたり、隣の系統に影響を及ばしたりすることで、機械が意図せず動きだしたり、もしくは機械を停止させようとしても停止できなくなる可能性があります。そのため、制御システムの安全関連部に汎用リレーを使用することはできません。